■ 2004年

■11月■12月





2004.11.30 tue.  p.m. 12:40
 花の命ははかなくて、散りゆく様も美しい。





2004.11.29 mon.  p.m. 09:08
 花泥棒は罪にならないってことだから、近所からパクってきたさざんかの花。





2004.11.28 sun.  p.m. 07:12
 渋谷へ。街は日に日にクリスマス。BUNKAMURAで「ポップアート展」を見た。これほどたくさんのポップアートと称される作品を一度に見たのは初めてだ。バスキアの作品もあった。もちろんウォーホルも。
 まさに、「これがアートだ」と言ったもん勝ちといった作品ばかり。ポップアートは、作品もさることながら、それを生みだした人間そのものがアート、流行、商品、事件、なんだろう。
 アカデミックな雰囲気の会場での展示なんだが、作品を見ながらつい笑ってる。これを子供が見たらもっと笑うのかな。いや、子供は「アートとはこういうものだ」なんて概念がないから、大人より普通に楽しむのかもしれない。
 ポップアート作品を部屋に飾るとしたら、と考えた。きっと5分で飽きるだろうし、妙に落ち着かないだろう。それがポップアートの意味で、宿命なんだろうな。
 会場内で、気づいたことをメモしていたら、係員が来て言った。
「お使いのペンはボールペンですか? こちらの鉛筆をお使いください」
 意味が分かんなくて聞いたら、ボールペンはインクが飛び散る可能性があるからだという。へぇー、知らなかった。






2004.11.27 sat.  p.m. 05:57
 冬晴れの日、夕暮れにベランダに出て西の空を見ると、マンションとマンションの間の空に、小さく富士山のシルエットが見える。
 そして今夜は満月。東の空に目を向けると、都庁のふたつの建物のど真ん中から月が昇ってくる。都会に住んでいて見つけた、最高の眺めだ。






2004.11.25 thu.  p.m. 08:07
 訳あって全力疾走。最初の4、500メートルは確かに疾走だったが、後がよくない。気持ちは前に行ってるし腕も振れてるのに、体が前に進まない。最後はゼイゼイ言ってる自分の声ばかり聞こえてくる。やばい。
 訳あって全力疾走、なんてするもんじゃない。明日はきっと筋肉痛だ。あ、いや、明後日か。






2004.11.25 thu.  a.m. 03:40
 TOKYO FILMeXで「Turtles Can Fly」を見た。
 アメリカが攻め入る少し前の、イラクの片田舎の村。近くにはクルド人難民のキャンプがある。そこで暮らす子供たちは、地雷を掘ってそれを金に換えて暮らしている。
 日常の風景の中に、破壊された戦車や不発弾の山。演じている子供たちは、実際に手や足がない。
 どちらに正義があるか、などと大上段に振りかざすことなく、物語は子供たちの視点で綴られる。
 上映の後、クルド人のバフマン・ゴバディ監督のインタビューを聞くことができた。まさに命を賭けた撮影だったという。
 ニュースでいくら聞いたとしてもピンとこない現実が、物語として見せられることで、その強烈な痛みを知る。映画ってすげえ。






2004.11.23 tue.  p.m. 11:06
 歳を取ると、頭が固くなる。心がかたくなになる。音楽や映画、小説を読んでも、日常に疲れてると感動しそこねる。「そんなこと言われてもなあ」と、ため息をつく。
 もう一度思い出せ。新しい発見に胸が張り裂けそうになった瞬間を。自分が参加していると強烈に感じていた充足感を。時代のまっただ中にいると感じていた疾走感を。
 俺たちは下りてなんかいない。時代を感じ、時代を担い、時代を動かす。
 そのことを失った人生は、死と同じだ。






2004.11.22 mon.  p.m. 04:01
 綺麗に晴れ渡った1日。仕事場の窓からちょうど、青空に浮かぶ白い月が見える。
 懐かしい人が故郷からやって来る。今日はこれから空港へ迎えに行く。しばしのインターミッション。古い笑い話や、最近のできごとの話や、遠い未来への夢なんかを話そう。酒は買っておいた。あったかい夜になるだろう。






2004.11.20 sat.  a.m. 01:58
 2時か。
 この1日で100通近いメールをやり取りして、ホームページの更新とONE入会申し込みを開始。まだ細かい詰めは必要だろうが、無事スタート。スタッフに感謝。
 すでに入会申し込みや、イベントのチケット予約のメールが来てる。ファンに感謝。
 で、まあ、俺はヘトヘト。
 でもせっかくだから、12/15のグランドオープンへ向けて、前祝いの乾杯だあ!






2004.11.18 thu.  p.m. 10:44
 薄めのコートを着て、冷たい雨の中を歩く。
 日本には“傘かしげ”という美しい言葉と所作があることを思い出す。
 “肩ひき”というのも美しい。






2004.11.17 wed.  p.m. 11:37
 季節が移り変わっていく。今日は加湿器を稼働。これからの季節は、喉のためと部屋に置いてあるギターのために欠かせない。
 数日前、Tシャツ1枚でキーボードを叩いてたら手が震えてる。「すわ発作か!」なんて思ったら、かじかんでただけだった。先に気づけって。ストーブを引っ張り出した。
 好きな季節がやってきた。






2004.11.17 wed.  a.m. 03:58
 午前4時。今の気分は、おおむねこんな感じ。
 太陽がチラリと顔を出してはいるんだが。
 もうちょっと。あともうちょっと。






2004.11.16 tue.  a.m. 00:09
 混み合った地下鉄車内でのこと。俺のすぐ後ろに若い2人連れ。相当酔っぱらってる男を気づかう女の声。
「ねえ、ほんとにだいじょうぶ?」
「だいじょうぶだいじょうぶ!」
「イタ電なんてしないでね」
「しないしない」
「電源切っちゃうからね」
「分かった分かった」
「ねえ、ほんとにだいじょうぶ?」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
「ささないでね」
 え?
「分かった分かった」
 駅に着き、男は女に手を振って電車を降りる。俺も降りる。俺の前をフラフラ歩いてる黄色のパーカーを着た若い男の後ろ姿。
 “ささないでね”は漢字に直すと“刺さないでね”?
 女が言った「ササナイデネ」には、どんな想いが込められてたんだろう。






2004.11.14 sun.  p.m. 11:24
 ある程度の録音は部屋でパソコンを使って作る。作るんだが、音源を使うソフトが入ってるのは前のパソコン、録音してミックスするソフトが入ってるのは今のパソコン、データを整理するのはノートブック。おかげで、コードがあっちにつながりこっちにつながりで部屋中えらいことになる。もうちょっと何とかならないもんか。
 昼間、録音の作業。準備を整えて始めた途端、窓の外で「アー! アー!」ってカラスがかん高く鳴き始めた。しばらくカラス待ち。再開した途端、今度はヘリコプターが近くで旋回を始めた。何か事故でもおきて、テレビ局が空から撮影してんのかな。ヘリ待ち。ようやく始めてマイクの前でヘッドホンをしたら、何やら微かにノイズが乗る。ヘッドホンを外すと。
「た〜けや〜、さおだけ〜」
 できゃしねえ!






2004.11.11 thu.  p.m. 11:22
 今し方、RED & BLACKとONE-Pre Siteの更新の確認を終えて、ちょっと休憩中。オープンに向けて、いよいよ山場を迎えてる。
 さっきイギリス在住の人から、ONE入会への質問のメールが来た。嬉しいな。ネットなら一気に海を越えられる。
 たくさんの人に、俺の新しい挑戦に参加してほしいな。もうすぐ、誰も体験したことのないような、すごいファンサイトが完成だ。
 昼間、詩を書いてたら、マネージャーからメールが入り、「ONEの会員規約のテキストを確認してください」ときた。
 右脳を動かしてる時に、左脳が動かせるか!






2004.11.10 wed.  p.m. 09:54
 先日受けた健康診断の結果を聞きにいってきた。
 先生が結果の書いてある紙をめくりながら口を開く瞬間は、今も緊張する。が、まったく問題なし。こう見えても意外に健康体。
 緊張するのには訳がある。ここ何年も同じ先生に健康診断をしてもらっているんだが、数年前のこと。
 「問題ありませんね」という先生にお礼を言って、ドアから出ようとした時、俺の背中に先生が言った。
「あ……ちょっと待って」
 先生は俺の肺のレントゲン写真を見つめ、長いこと悩んでる。俺は椅子に座り直して顔面蒼白。
「せ、先生? 何か、あるんですか?」
「うーん……いやね、ここにちょっと影がね」
 かげぇ!?
「せ……先生? その、影っていうのは?」
 先生腕組み。
「せ……あの、それって、その、どういう可能性が?」
「うーん…………結核?」
 ピアノの低音弦をいっぺんに力一杯ぶっ叩いたような、ドラマによくあるベタな音が頭の中で鳴り響いた。
「一度、総合病院で精密検査した方がいいだろうね」
 後日、俺はでっかい病院で再検査し、そのまた後日、検査結果を聞くために病院へ。
 待合室で長椅子に背中を丸めて座り、いろんなことを必死に考えていた。今作っててまだレコーディングしてない曲を、何としても死ぬ前に全部レコーディングしてしまうんだ。そして体が続く限りライヴをやって、そして静かに死んでいこう。
 ま、今にして考えてみりゃ、結核は死の病ってわけじゃない。
 診察室に入って先生の前に座りながら、俺は少なくとも即入院の覚悟はしていた。先生は俺に背中を向け、レントゲン写真に見入る。
「先生、あの……どう、でしょう」
 先生は俺に振り返り、おごそかに言った。
「うん、何ともないですよ〜」
 病院を出て、俺は腹の底から思った。生きるって素晴らしい!!

 何? ロックやってるくせに健康診断なんか受けるな?
 馬鹿言ってんじゃない! ロックみたいな不健康なことやってるから健康に気をつけなきゃいけないんだ!






2004.11.09 tue.  a.m. 03:36
 半笑いを通り越して、空笑いしてる。午前3時半過ぎ。
 届いたメールに突っ込んでる。「もうさあ、いい加減に寝ようよ!」
 って言いながら、まだ仕事してる。






2004.11.07 sun.  p.m. 07:54
 「ONE - Oyama Takuji Network Eyes」のミーティング。デザイナー、プログラマー、スタッフと俺が集まって、ラストスパートへ向けての最終調整。グランドオープンは12/15に決定した。
 それぞれの持ち場で、やるべき作業を確認していく。ミーティングを終え、やることがまだ山のようにあるってことが分かった。部屋へ戻って、ひとつずつクリアしていく。そういや今日は日曜日。
 どこかで、こんなセリフを読んだことがある。
「自由業に日曜日はない。もしくは毎日が日曜日。さてどっちが恐いでしょう?」
 どっちも恐いって。






2004.11.06 sat.  a.m. 00:51
 1日中パソコンの前で仕事してることがある。今日がそうだ。
 ひっきりなしにメールが届き、ひっきりなしにメールを送る。
 5時間もたつと、脳が沸騰してくる。疲れには糖分がいいと聞いたから、普段はブラックで飲んでるコーヒーにシュガーを入れる。確かにちょっと脳が回る感じがする。
 10時間を越えると、脳が溶けそうになる。全然動いてないのに体もぐったり疲れてる。そんな時に、すぐさま結論を出さなきゃいけない内容のメールが来ると、両手で頭をパンパン叩いて覚醒させる。今がそうだ。
 もう……ちょっと半笑い状態でメールを書いてる。






2004.11.04 thu.  p.m. 09:54
 バークレー出身の、25歳の若手コンポーザーと話をした。
 以前、俺の新曲を渡して、「まずは好きに料理してみてくれないか」と伝えていた。彼の作ったサウンドは、オーソドックスだが、ひとつひとつのフレーズが不思議に新鮮だった。
 今日、初めての握手をし、長時間いろんな話をした。
 これが幸せな出会いになるか、残念なすれ違いになるか、まだ分からない。だがもしかしたら今日が、俺の音楽に新しい風を吹きこむ人間の、登場の記念日になるかもしれない。






2004.11.03 wed.  a.m. 00:47
 下北沢440へ。古い友人の鎌田ひろゆきがセンチの督さん成瀬君とライヴをやるというメールをもらっていて、ひさしぶりに見に行った。
 鎌田のライヴを初めて見たのは、1990年の吉祥寺MANDA-LA2。その後、鎌田と〈予感〉を共作した。
 そのステージで鎌田のバッキングに督さんがいて、そのギターに惚れて一緒にやりたいと痛切に思い、それがかなったのが2000年の《手首》のレコーディング。
 成瀬君は、鎌田の紹介で〈種の歌〉のコーラスに参加してくれた。
 ビールにバーボンにジンのロックを2杯。腹に染みるギターの音色と歌声に酔った。






2004.11.01 mon.  p.m. 08:28
 歩いていたら、どこからかつたない演奏の〈ルパン三世〉のメロディ。小学校の校庭で練習している鼓笛隊だった。運動会にはちょっと季節外れだし、コンテストでもあるのかな。最近の鼓笛隊にはサックスやトランペットまでいるのか。すごいな。あ、鼓笛隊じゃなくてブラスバンドなのか。

 小学校の5年と6年の時、俺は鼓笛隊で小太鼓を叩いていた。
 鼓笛隊の一番の花形は指揮者だ。金色の長い棒を回しながら笛を吹く。うちの学校では、なぜかいつも女の子がやっていた。6年生の中で、一番かわいくて勉強のできる子がやっていた。
 次の花形は大太鼓だった。児童会の会長みたいなタイプの男の子がやっていた。そしてその後ろに並ぶ4人くらいの小太鼓の中の1人が俺。小太鼓は別に勉強のできる子でももてる子でもなかった。ウンパンパンパン、ウンパンパンパン。後ろにズラッと縦笛の行列。
 大太鼓が叩きたかった。指揮者の女の子とつき合いたかった。どっちもかなわなかった。






2004.11.01 mon.  a.m. 00:47
 ひとまず、ご挨拶。
 一昨日くらいから、スタッフとすごい数のメールのやり取りをしながらデザインやプログラムを確認し、晴れてオープンにこぎつけた。
 ここでは、ダイアリーというよりは、日常のひとこま、詩の断片、舞台裏のできごとなんかを、思いつくままに記していこうと思う。たまには写真もね。
 さて、オープンを祝して乾杯でもするか。って、これを書いてたら、毎日このオチになっちゃうな。






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